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2007年12月 アーカイブ

2007年12月04日

ジョギングよりウォーキング

生活習慣病の予防に役立つ健康法として、ウオーキングを実践する人が増えています。
しかし、健康維持になぜ役立つのか、どのくらいの時間歩けばいいのかなど、
詳しく知らずに行っている人が多いのではないでしょうか。ウオーキングに詳しい東京学芸大学の宮崎義憲教授は、「(方法や効果の)正しい理解が必要」と注意を促します。


 ウオーキングは、マラソンなどの激しい呼吸をともなう無酸素運動とは違い、
老若男女問わずできる有酸素運動です。それがなぜ生活習慣病予防に有効とされるのでしょうか。「理由は生活習慣病の原因となる脂肪の燃焼効率にある」と宮崎教授は言います。

 人は体を動かすと、糖質と脂肪をエネルギーとして使います。その使われ方は、運動の種類によって異なります。

 無酸素運動で使われるのはほぼ100%糖質です。これに対し、有酸素運動では糖質と脂肪の両方が使われ、ウオーキングのようにゆっくりした運動ほど消費エネルギーに占める脂肪の割合が高く、効率的なのだというのです。

 ただ、「無酸素運動にならない範囲なら、普通に歩くより心拍数の多いジョギングの方が、効率はともかく、脂肪の絶対的な燃焼量は多い」と宮崎教授。ノロノロと歩くのではなく、心肺機能や筋力の余裕に応じて速度を決めるのがよさそうです。


 脂肪は燃え始めるまでに時間を要することも知っておく必要があります。
「ウオーキングを始めてしばらくは糖質が消費されます。
脂肪が燃え始め、一定の効果を得るには、30分は歩いた方がよいでしょう」(宮崎教授)。
30分間続けて歩くと、約200キロカロリーのエネルギーが消費されます。
これは、日本人の成人が一日当たりに過剰摂取しているエネルギー量とほぼ同じです。

 30分以上歩く習慣を身につけるのは大変ですが、英国では30分を朝、昼、晩の
各10分にわけても効果が同じだったという実験結果も出ています。
「10分でも歩くと体が温まります。家の片づけなど、何らかの形で体を動すと、
『アフターエフェクト』という脂肪燃焼効果が続きます」(同)。
歩く時間が足りなくても、体を動かすよう、心がけた方がよいと言います。

 より効果を得たい場合、重い靴を履いたり、プールで歩くなど、適度の負荷をかけるのも効果的です。大阪体育大学の増原光彦教授は、「重い靴を履いた方が心拍数が上がり、脂肪燃焼の効果がある」と言います。

 一方、「特に高齢者は筋肉トレーニングを優先すべき」とする意見もあります。
稲毛病院(千葉市稲毛区)の佐藤務・健康支援科部長は、5分程度でできるスクワットなどの簡単な筋トレ「レジスタンス運動」を提唱しています。ウオーキングは心肺機能の強化に役だっても、加齢による筋力低下を防ぐ効果は比較的少ないのです。佐藤部長はウオーキングの効果を認めつつ、「同じ時間・距離を歩くと筋肉のある人の方が(代謝がよく)効果が得られます。それに(高齢者は)筋トレしてからウオーキングしないと、体が変形して逆効果になります。両者のバランスよい組み合わせが大事」と指摘します。

 ウオーキングには、老若男女問わず、特別な施設や器具も必要なく、関節や筋肉への負担も少ないなど、利点が多くあります。中村好男・早稲田大学スポーツ科学部教授は、「実現可能かどうかを考えても意味がある」と日常生活で多くの運動を継続して行う難しさを指摘します。漫然と実践するのではなく、自らの体力や生活スケジュールと照らし合わせつつ、継続させることが重要です。


2007年11月26日 フジサンケイビジネスアイより抜粋

任天堂「Wii Fit」発売開始!メタボ予防に。

 任天堂は12月1日、家庭用据え置きゲーム機「Wii(ウィー)」向けの新ソフト「Wii Fit(フィット)」(税込み8800円)を発売しました。

 体重計のような付属の専用ボードに乗り、スキージャンプやヨガなど40種類以上の運動やゲームが楽しめるのが特徴。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)など健康への関心が高まる中、家電量販店の店頭では、発売を待ちかねたファンで行列ができたところもあります。

 東京・西新宿のビックカメラ新宿西口店では、午前10時の開店直後から、5階のゲーム売り場に並べられたWiiフィットが次々と売れたそうです。体験会も開かれ、バランスゲームを楽しむ小学生や体重を測る中高年など世代を越えて関心を集めていました。

家庭での運動習慣がメタボ予防の鍵になりそうです。

2007年12月05日

メタボリックドミノの考え方

 「メタボリックドミノ」という考え方が注目されています。肥満がもとで高血圧、脂質異常、さらに糖尿病がバタバタと、まるでドミノのように連鎖的に起こり、ついには脳卒中や心筋梗塞(こうそく)、透析などに至ります。しかし、メタボリックシンドロームの診断基準は予防を重視し、かなり軽症の段階から設定しており、早いうちに生活習慣を是正すれば健康体へのリグレッション(回帰)も大いに可能というわけです。メタボリックドミノの提唱者で腎臓内分泌代謝学の専門家である慶応義塾大学医学部内科学の伊藤裕教授は、思い切った、持続できるカロリー摂取の低減を勧めています。


メタボリックドミノの考え方について 
 昔は、食塩の取り過ぎや遺伝性の高血圧、あるいはやせ形の糖尿病の人もかなりいましたが、最近は、いわゆるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、つまり生活習慣による肥満が原因で血圧、血糖、高脂血症(脂質異常)などのリスクが重積し、こうした症状を起こすケースが多いことがわかってきました。最終的には、心筋梗塞や脳卒中など脳・心血管の合併症が起こってくることが怖いのですが、ここまでに至る症状にも順番があって、その点を「ドミノ」という流れ、連鎖反応を示す言葉で表しました。メタボリックドミノという考えから、「私はもうこの辺りだから気をつけなければ」というような意識を皆、一様に持ってもらいたいと考えたわけです。

健康は取り戻せるのですか

 軽い症状の人でもすべてメタボリックの範疇に入れて恐れさせようという意図はまったくありません。そういう状況の人では、早くから病識を持ち、肥満さえ解消されれば病気にならずに済む、あるいはいったん病気になったものが良くなることもあります。実際ドミノ倒しのように、1回倒れたら元に戻れないのでなく、ある程度の段階なら十分回復が可能なことがわかってきています。むしろ心血管合併症に対する予防的な観点でドミノ理論の流れを知っておいてほしいのです。

図では、中盤より少し前に、高血圧、高脂血症、食後高血糖などのリスクが並んでいますね

 いずれも同じぐらいの時期に起こってきますので、この時期がメタボリックシンドロームの始まりといえるのです。日本人の場合、恐らく高血圧症状が最も早く、ついで高脂血症、しばらくたって血糖が上がってきます。すでにこの段階で動脈硬化が起きてくることを認識しておくのが重要です。「ここまではメタボじゃないからOK」という考えでなしに、病態はあくまで連続しているとの認識が大事ですね。

糖尿病については?

 I型糖尿病のように、肥満と関係なく、やせていても糖尿病になる人がいます。このようなタイプの糖尿病で大きな問題となる網膜症や透析などの合併症が強調され、高血糖から糖尿病になる間はグレーゾーンという見方で軽視されがちでした。しかし最近は肥満も急増し肥満を原因とするメタボリックシンドローム型の糖尿病が増加しており、こうした人たちでは、高血圧なども重なることが多くなっています。従ってまだ軽いと思える段階でも実際は動脈硬化がかなり進行しており、いつ脳卒中や心筋梗塞になってもおかしくない状況になっているのです。

なぜ肥満が悪いのですか

 メタボリックシンドロームの要因について、海外では、インスリンの効きが悪くなる、「インスリン抵抗性」が重視されていましたが、内分泌の専門分野からすればインスリン分泌がすべてにかかわるとは思えない要素が多くありました。住友病院長(大阪大学名誉教授)の松澤佑次氏らの研究などで、肥満によって、脂肪細胞から出るさまざまなホルモンの分泌異常が起こることがわかってきました。

 例えば、肥満になるとなぜ高血圧になるか謎でしたが、「アンジオテンシンノーゲン」という、もともと肝臓で作られ、血圧を上げる「アンジオテンシンII」の基の物質が肥満になると、脂肪細胞から盛んに放出されてくることがわかったのです。糖尿病に関しても、アンジオテンシンIIが、インスリンの作用を抑制したり、膵臓を障害してインスリンの分泌を悪くしたりする作用があることもわかり、こうしたメタボリックシンドロームの全体の流れの中でとらえることが重要になってきたのですね。脂肪細胞からのホルモン分泌異常、つまり内分泌にかかわる病気というメタボリックシンドロームの新しい観点は、日本独自の研究成果でもあり、外国では受け入れたくない心情が残っていると思いますよ。

メタボリックの診断基準に関してはどうでしょうか

 わが国では、内臓脂肪の蓄積に基づくウエストサイズの増加を必須項目としているところが大事なことなのです。ウエストサイズは腹部の内臓脂肪と相関することがわかっており、測定するのに簡便な指標です。外国の基準では、肥満が必須項目でなく並列しているものもあり、それではほかの条件が満たされるだけでもメタボリックシンドロームになってしまうこともあります。わが国できちっと内臓脂肪蓄積を必須条件にしているところが非常に意味あることなのです。もう1つ、かなり軽症な段階のものを基準としていることも重要です。しかしながら、今回設定された基準外ならメタボではないとか、1、2センチ少ないから大丈夫といった、オール・オア・ナッシングの考え方でなくて、ある程度ウエストサイズが大きくなってしまったら、気をつけようということが重要です。

 また、適正体重を量るBMIという基準では、身長170センチなら適正体重60キログラムとなるわけですが、現在80キロだとすると、とても60キロまでは下げられません。しかし、実は例えば、5キロ減っただけでも、まず内臓脂肪から減少していきますので、メタボリックシンドロームの病態からは意味があることなのです。少しでもいいから体重を減らそうという努力が大切です。

先日、メタボで運動に励んでいた人が亡くなり、話題になりましたが

 私の想像でしかありませんが、その人は実は心臓の方もすでに悪くなっておられたのではないでしょうか。メタボリックシンドロームは、本来、動脈硬化や糖尿病の予備群であるという考え方を基本としており、すでに糖尿病を患っている人や心血管障害がかなり進んでいる人、つまりメタボリックドミノの下流にいる人では、診断も治療も違ってくると思っています。

糖尿病に関しては、さまざまな指標があるのですか

 空腹時血糖を基本にしています。通常、糖代謝の異常は、食後高血糖が一番先に変化してくるわけで、それを耐糖能の異常の診断基準にしたいところですが、なかなか評価が難しい。ブドウ糖を飲んで採血してスクリーニングするブドウ糖負荷試験も手間がかかり一般向きではありません。1、2カ月間の平均血中ブドウ糖濃度の指標である「ヘモグロビンA1c」を用いれば食後高血糖も比較的早めにとらえることができるのではないかと思っています。メタボリックは、どちらかというと、食事を取ったときに血糖が上がりやすいタイプの人に起こりやすいので、ヘモグロビンA1cの方がより鋭敏な検査になると思うのです。

腎臓の領域ではどうでしょうか

 実は今、生活習慣病などを基盤とする慢性腎臓病(CKD)が、心血管病のリスクファクターとして注目され、啓発キャンペーンも行われているのです。腎機能が6割になった人がわが国でも約2000万人いるといわれ、それはメタボリックシンドロームの予備群を入れた人数とほぼ同じです。腎臓固有の要因だけでなく高血圧や糖尿病ともからんで発症してくるわけですが、その人たちは心疾患を起こす率が普通の人の2倍以上高くなることがわかってきたのです。

メタボリックシンドロームとの関係は?

 実は、CKDの最も大きな原因はメタボリックシンドロームです。最近は、肥満そのものが腎臓を悪くすることがわかってきました。それと前述の、血圧を上げるアンジオテンシンIIが腎臓の悪化に関与しているともいわれています。腎症から透析へ移ることを阻止するだけでなく、メタボリックシンドローム対策と同様、CKDの段階で治療を始めて脳卒中や心筋梗塞の予防も図ろうというわけです。

メタボリックを軸に、医療の世界も大きく変わろうとしているのですね

 糖尿病なら糖尿病専門医、心臓病なら循環器医などと、これまでは自分の領域での治療で済みましたが、これからはそうはいきません。糖尿病と心臓病が非常に関係が深いことがようやく知られるようになってきましたが、これからはさらにメタボリックドミノの全体の流れをつかんでケアしないと、本当に患者さんのためになる治療をしていることにはならないのです。メタボリックドミノの考え方からすれば、メタボリックシンドロームもCKDも、代謝内分泌疾患と循環器疾患がミックスした全身疾患というとらえ方ができます。本当に体の中で何が起きているのか、一貫して知っておく必要があるのですね。

どうしたらメタボリックシンドロームを解消できるのでしょうか

 本質的には肥満の解消に尽きます。何を食べるかよりもまず基本的には、カロリー摂取を減らすこと。むろん血糖が上がりにくい食品を主にしてバランスよい食事ができればそれにこしたことはありませんが、栄養学的にまだ何が体にとっていいものなのかというしっかりしたエビデンス(科学的証拠)がなく、また栄養過多の現状では、カロリーの絶対量を少なくすることが基本になってくると思います。減量に関しては、食事7割、運動3割の寄与であり、やはり食事のケアが重要です。お昼、外食で脂っこいものを食べずに、副食をつけず、おにぎり1個で済ますこともありですね。

                   ◇

【プロフィル】伊藤裕

 いとう・ひろし 京都大学医学部卒業、博士号取得。米国ハーバード、スタンフォード大学で博士研究員。京都大学大学院臨床病態医科学講座助教授を経て平成18年、慶応義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授。第5回日本心血管内分泌代謝学会・高峰譲吉研究奨励賞など受賞。日本内分泌学会理事など多数。

産経新聞 2007年10月30日記事より抜粋

2007年12月11日

メタボを計測「腹部脂肪計」

家庭用計量機器大手のタニタ(東京都板橋区)は、寝たままの姿勢で腹部の脂肪率や腹囲を同時計測できる世界初の「腹部脂肪計」を開発し、2008年2月に発売すると発表しました。寝たきりの高齢者でも簡単に計測できるほか、計測時間も約30秒と短いのが特徴。2008年4月に始まる特定健康診査などのメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策では、腹囲や内臓脂肪の蓄積を把握する必要性が指摘されており、健診センターなどでの需要を見込んでいます。

 開発した腹部脂肪計「AB-101」は、ベッドなどに据え付けるアーチ型の本体と、電極を内蔵して無線通信機能を備えたインピーダンス計で構成。電気抵抗などをもとに腹囲や内臓脂肪を割り出します。対象者が病気でベッドに寝たきりになっていても、体に負担をかけずに計測できます。

 これまで腹囲は巻き尺で計測することが多かったのですが、呼吸などに影響され、正確な数値を測りにくいという問題点がありました。また、内臓脂肪を計測するのも腹部X線CTなどの大きな装置が中心でした。

 タニタの谷田大輔社長は「足が不自由な方や(CTでは計測できない)腹囲130センチ以上の人でも簡単に計測できるように開発を続けてきた」と話しています。介護施設などに入所し、歩行が困難な人は内臓脂肪が増えることがあるといいます。動脈硬化や脳血管疾患は前段階に内臓脂肪の過剰蓄積があるとされており、予防に活用してもらう見込みです。

 価格は29万4000円。介護・福祉施設や運動療法施設などをターゲットに、初年度300台、3年後に1000台を販売する予定です。

12月5日産経ニュースより抜粋


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